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AuthorLetchuman Ramanathan
スライドで見てきたように、20世紀に見られた平均寿命の大幅な延長は、主として、衛生、公衆衛生、栄養の改善によるものです。平均寿命は新生児死亡率の影響が大きく、新生児死亡の主因は感染症です。従って、新生児死亡率が高い非先進国では、感染症の予防によって、平均寿命は大きく改善します。
ところが、15歳以上を考えると、先進国、非先進国に関わらず、健康で問題になるのは非感染性疾患です。(Sen K et al. Lancet 356: 577-82; 2000)
非先進国の健康問題を考える時、感染症が主な焦点とされて来ましたが、21世紀における疾病予防を考える時、非先進国においては、感染症予防と同様に非感染性疾患予防をも考えていく必要があります。
実際、先進国及び多くの非先進国における死亡の主因は、循環器疾患、特に心臓病です。確かに、循環器疾患の予防には、バランスのとれた食事、禁煙、運動等の健康な生活習慣が大切です。しかし、健康な生活習慣にも関わらず、心臓病に罹患する人が多いのも事実です。このスライドは、1998年の時点における、スタチンを用いた主要な臨床治験の結果をまとめたものでしす。これらの臨床治験の結果等から、虚血性心疾患予防におけるスタチン適用のガイドラインが作成されました。
Shepherd J et al. N Engl J Med. 1995;333:1301-1307.
4S Study Group. Lancet. 1995;345:1274-1275.
Sacks FM et al. N Engl J Med. 1996;335:1001-1009.
Downs JR et al. JAMA. 1998;279:1615-1622.
2002年に発表された、Heart Protection Study (HPS) は、スタチンを用いた臨床治験で最大規模です。この結果から、スタチンによるコレステロール治療は、必ずしも高コレステロール値の者に限らず、虚血性心疾患発症リスクが高い者、虚血性心疾患の既往がなくても、高齢で高血圧、糖尿病の者は全てその対象になるとも考えられる結果でり、大きな議論を呼んでいます。
Heart Protection Study Of Cholesterol Lowering With Simvastatin in 20,536 High–risk Individual: a randomized placebo controlled trial   Lancet 2002;360:7-22